セラミックスの非晶質構造

非晶質構造 セラミック
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今回はセラミックス材料の非晶質構造について説明します。今までにいくつかセラミックス構造について説明しましたが、その全ての構造に原子配列の単位がありその配列が固体の中で隙間なく繰り返されていました。非晶質構造とは、その長期的な配列の繰り返しを持っていない材料構造のことを言います。

非晶質構造

結晶質(crystalline)の構造は短距離の秩序と長距離の秩序の両方をもっていますが、非晶質(noncrystalline)の構造は短距離の秩序はもっていますが長距離の周期性はもっていません。ガラス、ゲル、気相から析出した薄膜などの非晶質固体は多くの分野で製品に応用されており、様々な企業で開発が行われています。

ガラス

ガラスは最も広く用いられている非晶質材料です。セラミック組成の溶融物を非常に速く冷却し、原子が周期的に並ぶための時間を与えずにして生成します。ガラスは固化する温度以下では熱力学的に不安定であり、原子が移動を許されるなら再配列して結晶となる傾向をもっています。火山性のガラスである黒曜石がクリストバライトを含有することからもわかりますが、ガラスは長い間には結晶化してしまいます。また、結晶化の速度は温度を上げて原子の移動度が増すほどに速くなります。

溶融石英は熱膨張が小さく、非常に速い温度サイクルで使用することのできる耐熱衝撃性に優れたセラミック材料ですが、SiO2の融点(1713℃)より遥かに低い温度でクリストバライトの結晶が析出してしまいます。クリストバライトは200〜270℃で多形転移を起こし、その際に大きな体積変化を伴いますのでクリストバライトへの結晶化は製品上好ましくありません。

ガラスの一般的な性質は以下になります。

  1. 原子の短距離秩序はあるが長距離の周期性はない
  2. 構造が等方的ですべての方向について性質が均一
  3. 可視光に対して通常は透明であるが、種々の波長の光を吸収したり透過させるように調製することが可能
  4. 電気伝導率が低く熱伝導度が小さい
  5. 融点以下の温度で軟化し、複雑な形状に成形可能

ゲル

ゲルは熔融法ではなく化学反応によってつくられた非晶質固体になります。その中でもシリカゲルは工業的に非常に重要な材料です。触媒の存在下で珪酸エチルと水を反応させることでまずSi(OH)4が生成し、Si(OH)4を脱水することでSiO2になります。シリカゲルは珪酸ナトリウムと酸との反応によっても得ることができます。また、非晶質ゲルのAl(H2PO4)3は酸化アルミニウムとりん酸(H3PO4)との室温での反応でつくられる優れた無機質セメントです。

気相からの析出

非晶質材料の重要な分野として、低温の基板上に蒸気を急速に凝固させたり、加熱した基板と気体を反応させてつくる材料もあります。気相からの析出法とは、スパッタリング、電子線加熱、加熱蒸発などによって生じた蒸気を冷却した基板と接触させることで急激な固化を促す方法で、原子が再配列して結晶化するための時間的余裕を持たせません。そのため、他の方法では非晶質になりにくい物質の薄膜をつくることに蒸気からの凝縮法が用いられています。これらの皮膜は一般的に緻密で粒子が小さく、独特の性質をもっています。

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