ファインセラミックスの代表的な原料

代表的なセラミックスの原料 セラミック
Sponsored Links

今回は代表的なセラミックスの原料について説明します。アルミナ、マグネシア、炭化ケイ素など、セラミックスに携わる人にとっては日常的な材料を紹介しますので、覚えておいて損はありません。

代表的なセラミックス原料

アルミナ

酸化アルミニウム Al2O3は天然鉱物としてはコランダム(corundum)として産出され、ルビーやサファイアと呼ばれる高価な宝石にもなります。Al2O3粉末はバイヤー法(Bayer process)によってボーキサイト鉱石から大量生産されています。ボーキサイト中のアルミニウムは主として水和アルミニウムとして存在し、鉄はFeO(OH)の形で含まれているため、バイヤー法では水酸化ナトリウムでアルミナを選択的に溶解し精製した水酸化アルミニウムとして沈殿させ、この沈殿を加熱処理して Al2O3粉末を得ています。

Al2O3粉末はアルミナ質多結晶セラミックスの原料として非常に多く使用されています。具体的には、実験室用アルミナ磁器、ルツボ、金属鋳造用の鋳型、高温セメント、耐摩耗部品(スリーブ、タイル、シールなど)、砂かけ用ノズル、医療用部品、研摩材、耐火物、コーンチップ用押出し口、蛇口の水と湯を混合するバルブなどに使われています。

マグネシア

酸化マグネシウムMgOは鉱物(periclase)としても産出するが、質、量ともに工業的な要求を満足することができないため、大部分は MgCO3もしくは海水から抽出した水酸化マグネシウムを適当な温度で仮焼して酸化物粉末としています。MgO粉末は高温電気絶縁体や耐火物の原料として非常に多く使われています。

炭化珪素

天然では炭化珪素SiCは隕鉄の中から小さな緑色六角板状の結晶として発見されただけになりますが、α-SiCはアチソン法(Acheson process)で工業的に生産されています。アチソン法はカーボンと石英を混ぜたあとに直接通電させる方法で非常に豪快な製法ですが、簡単に安く低品位の研摩材用のSiCと高品位の電気材料用SiCを生産することができる優れた生産方法です。

アチソン法ではSiO2とコークスとの混合物を大きな盛り土状に電気炉に充填して両端に炭素電極を取り付けます。電極間に電流が通じると盛り土内のコークスの抵抗加熱により温度が2200°Cに達します。これによってコークスとSiO2が発熱反応を起こしてSiCとCOが生成しますが、反応が開始すると熱を多量に発生して反応が完結するまで継続します。生成物は冷却後に盛り土を壊して中心部から取り出します。中心部は十分に成長した緑色六方晶の SiC 結晶であり、不純物が少なく電気材料用として使用されます。中心部の周囲には低純度の SiCが生成しており、研摩材としてよく用いられます。盛り土の外側の層はSiCと未反応のSiO2, コークスの混合物であり、次の反応に使用されます。

SiCは実験室的には金属シリコンと砂糖からつくられたこともあり、もみ殻からもつくられています。SiCl4やシラン類からもつくることができますが、この場合には立方晶のβ-SiCが生成します。

SiCは高温炉のさや、電気抵抗加熱素子、砥石、研摩材、耐摩耗材料、焼却炉の内張りなどに使われていますが、最近では高温で高い応力がかかるエンジン部品への応用が検討されています。

窒化珪素

窒化珪素Si3N4は天然には産出しないが様々な方法で合成することができます。

市販の粉末の多くは金属珪素と窒素ガスを1250〜1400℃で反応させてできる生成物を粉砕、分級したものであり、α-Si3N4とβ-Si3N4の混合物になります。また、粉砕中に混入するFe, Ca, Alなどの不純物をわずかに含有しています。

高純度Si3N4粉末は適当な窒素ガス雰囲気中で SiO2を炭素還元する、もしくはSiCl4やシラン類とNH3を反応させることで得ることができる。これらの方法で得られる粉末は
非常に微細であり、場合によっては仮焼して成形工程に適する粒径にまで成長させる必要があります。

また、レーザー反応法によって高純度Si3N4粉末を合成することも可能です。シランとアンモニアとの混合気体に位相のそろった炭酸ガスレーザー光を当てることで、シランが光を吸収して反応に必要な熱が発生します。生成するSi3N4粒子の大きさや形状は気体の流速やレーザーの出力条件によって変化しますが、200〜1000Åの均一な大きさをもつ球状粒子が作られています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました