原料の前処理工程〜その1〜

セラミックの前処理工程 セラミック
Sponsored Links

今回はセラミック原料の前処理工程について説明します。用途に応じて選定された粉末原料は、圧縮成形や射出成形などの製法によって所定形状に成形され、熱処理によって緻密化されます。歪みやクラックのない焼結体を得るためには、粉末に特別な処理を与える必要があります。

各成形法に必要な前処理

前処理工程は後の工程で生じる可能性のある傷を最小限に抑えるために必要です。

例えば、流動性の悪い粉末では金型内での充填分布が不均一なため、最終製品に歪や密度の変動が生じます。同様に、スラリーの粘度を十分に制御しないと鋳込み成形した際に不完全な着肉や種々の欠陥が生じます。スラリーの脱気が不完全であると成形品に空隙を生じて最終製品の強度を低下させます。射出成形用原料の脱気についても同様です。

ここでは前処理工程について2回に分けて説明していきます。今回はその中のひとつ、添加物について説明します。

                 表1 前処理工程

加圧成形射込み成形射出成形
バインダ添加スラリー調整熱可塑樹脂添加
潤滑剤添加バインダ添加界面活性剤添加
焼結助剤添加pH制御潤滑剤添加
噴霧乾燥or造粒粘度制御焼結助剤添加
脱気脱気

前処理工程その1

添加物

添加物(additives)を必要とする理由はそれぞれの成形法によって異なりますが、一般的には下記のような理由になります。

  1. 結合剤を加え生(green)の成形体に十分な強度を与えることで、取扱いを容易にして焼成前の機械加工や他の操作を可能にする。
  2. 潤滑剤を添加し圧縮成形時の粒子と粒子および粒子と金型との摩擦を低減する。
  3. 焼結助剤を加え緻密化を容易にする。
  4. 解こう剤、可塑剤、界面活性剤、熱可塑性樹脂などを加えて成形に必要なレオロジー特性を改善する。

添加物の機能を表2に示します。結合剤を選定する際には種々の因子を考慮する必要があります。例えば、必要な生強度、機械加工の難易、セラミックス粉末との適合性、成形法の性質などがあります。ゴム、ワックス、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂は水に溶けないため鋳込み成形には不向きですが(エマルジョンとしては使用できます)、射出成形用の加熱した粉末混合物には最適です。有機の結合剤は低温で焼き飛ばして不純物の混入を防止することができますが、無機の結合剤は組成の一部として取り込まれます。

                表2 添加物の機能

添加物機能
結合剤生強度
潤滑剤型離れ、粒子間の滑り
可塑剤レオロジー向上、塑性変形向上
解こう剤pH制御、分散、凝集
界面活性剤表面張力低下
保水剤保水性
帯電防止剤電荷制御
気泡防止剤気泡の防止
気泡安定剤気泡の強化
キレート剤不要イオンの不活性化
殺菌剤劣化に対する安定化
焼結助剤緻密化の向上

コメント

タイトルとURLをコピーしました