電池の寿命と自己放電

寿命と自己放電 電気化学
Sponsored Links

今回は電池の寿命と自己放電について説明します。電池寿命は製品化するために必須の特性ですが、様々な要因で電池は劣化していきます。自己放電はその劣化要因の一つで、開発段階でケアすべき重要な課題となります。

電池の寿命とは

電池の容量は徐々に減少して劣化していきますが、容量が減少して初期容量のある一定の値に達した時点で電池の寿命に達したとされます。一般的には、70%や80%が多く、用途に応じて設定されます。Cレートを上げたときの劣化特性、サイクル測定を繰り返したときの劣化特性など寿命に関する特性はいくつもあり、その劣化要因についてもいくつも存在します。電池の種類によってその要因も様々ですが、今回はその中の一つ自己放電について説明します。

自己放電

自己放電とは、電池を保存中に外部回路に電流を流すことなく、活物質が酸化還元反応を起こして消費されてしまうことをいいます。これは、電解液と正極活物質もしくは負極活物質が徐々に反応してしまうことで、主に鉛蓄電池で頻繁に発生します。

正極と負極が電池内でわずかに短絡している場合(ソフトショート)は、外部に電流を取り出さなくても電池は放電してしまいます。セパレータにわずかに電子導電性がある場合や、ウィスカーと呼ばれる髭状の単結晶が析出し正極と負極を結びつけてしまう場合などがこれに当たります。また、電解液の中に正極と負極で酸化・還元される酸化還元系が溶存し、その酸化還元系が正極と負極の間を移動するとソフトショートのような状態になり、自己放電が進行してしまいます。自己放電が進行しても、反応が可逆であり、充電して元に戻すことができれば、電池を再生させて容量を回復させることができますが、正極と負極で自己放電のバランスが崩れたり、自己放電反応が不可逆な反応であったりすると充電ができなくなり、容量が失われてしまいます。

また、温度が高くなると副反応の速度が増加し、自己放電が加速されます。つまり、高温では電池の劣化は加速され、寿命も速く尽きてしまうということになります。電池反応が完全に可逆であれば問題ありませんが、化学反応であるからには多少は不可逆成分が含まれてしまいます。例えば、反応が99.9%可逆の時に1000回充放電を繰り返すとすると、容量は40%を切ってしまいます。

さらに、金属負極を用いる場合には充電時に負極金属が樹枝状に析出するケースが存在します。このような樹枝状析出物は脱落しやすく電極から遊離してしまい、充電することもできなくなってしまいます。これは可逆性を著しく低下させます。また、アルミニウム、アルカリ土類金属、アルカリ金属などの負極金属が樹枝状析出しその一部が遊離して蓄積してしまうと、反応性が極めて高い状態が電池内に存在し、安全性の上でも重大な問題を引き起こしてしまいます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました