セラミックスの焼成の問題点〜その1〜

焼成の問題点 セラミック
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今回はセラミックスの焼結過程における問題点を紹介します。セラミックスの焼成は非常に複雑であり、様々な原因で満足な焼結が行われず材料に悪い影響を及ぼすことがあります。時には大きな強度低下を引き起こすこともあり、製品の品質を担保する上では重大かつ困難なプロセスとなっています。ここでは焼結するときに起きる問題点と欠陥セラミックスの症状を2回に分けて説明していきたいと思います。

そり

そり(warpage)やたわみ(sagging) はとてもよく発生する問題であり、検査工程で発見されやすい不具合です。多くの製品はそりやたわみがあるだけでも不良品となってしまうため、生産を遅れさせないためにすぐに解決しなければなりません。一般的に、焼結する際の材料の保持方法が適切でない場合や生素地中に密度の変動がある場合にそりが生じます。保持の仕方による変形は炉内における被焼成物の向きを変えることや、製品と反応しないセラミックスでできた鞘に入れることで防ぐことができます。素地中の密度変動を除くためには不均一の原因となる焼成以前の工程における問題点を解決しなければなりません。これらの原因を区別するには、研摩面を確認し微構造検査を行います。前者の原因でできたそりは場所による微構造の差が認められませんが、後者では場所によって差が発生します。

過焼成

過焼成(overfiring)という問題もあります。過焼成により、そり、炉壁や鞘との反応、発泡、過度の粒成長などの問題が生じます。そり、炉壁や鞘との反応、発泡については肉眼でわかりますが、過度の粒成長を検出するには研摩面をエッチングし、反射顕微鏡で観察する必要があります。

大きな粒子の存在は破面を低倍率で観察すれば簡単に見分けることができるため、材料の破壊の原因を特定することに役立ちます。粒径が増加すると強度が低下しますし、粒子のわずか一部が大きな粒径をもつ場合でもこの強度低下は当てはまります。過焼成が起きてしまうと時折異常粒成長が起こり、少数の粒子が他の粒子に比べて巨大に成長してしまいます。

分解反応

セラミックスはよく最終の組成と違う出発材料から調製されます。例えば、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩などから分解反応(decomposition reaction)によって酸化物がつくられています。この炭酸塩などの出発原料は酸化物に
比べて純度が高く、反応しやすく均一に混合できるため選ばれています。これらの原料は分解し、酸化物として他の成分と反応させながら最終組成にしなければなりません。初期の段階で分解が起こらないと発生する気体によって製品が損傷を受けることもあります。

また、分解が不完全であれば組成のずれや不均一状態が生じます。水酸化物や硝酸塩は分解温度が低いためこの問題は起こることはあまり多くはありません。炭酸塩の分解温度は一般的には高くなっていますが、焼結温度が1000°C以上の場合にはあまり問題になりません。

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