セラミックスの腐食反応

腐食反応 セラミック
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今回はセラミックスの腐食反応について説明します。セラミックスはその化学的安定性から過酷な環境でよく使用されますが、腐食などの化学的作用によって欠陥が増長し、割れ、折れなどの製品欠陥を招いてしまうことがあります。室温、高温における腐食反応を理解し、しっかりと製品品質を担保できるようにしましょう。

室温における腐食反応

室温でのセラミックスの耐食性は材料によって様々です。Al2O3やSi3N4など強い結合をもつセラミックスは最も強い酸や塩基の水溶液にも腐食されませんが、硝酸塩、塩化物、硫酸塩などを含む弱い結合のイオン性の金属塩は水や弱酸に可溶です。

珪酸塩セラミックスも非常に安定ですが、ふっ化水素(HF)には弱く、HFはほとんどの珪酸塩ガラスを容易に溶解してしまいます。

高温における腐食反応

酸化物セラミックスは溶融したセラミックスや金属と接触すると腐食されます。20世紀終盤にはガラス製造が一気に増え、それに伴って多くの酸化物耐火物が使用されました。

CaO-Al2O3-SiO2融体中ではAl2O3の腐食速度は温度の上昇とともに腐食速度が増加します。さらに、多結晶セラミックスは単結晶に比べて腐食速度が大きくなります。また、融体が固体の表面を流動している場合には静止している場合よりも腐食速度が大きくなります。

また、金属の溶解や精錬工程における酸化物セラミックスの環境は非常に過酷です。塩基性酸素製鋼法(BOSP)はセラミックス耐火煉瓦を内張りした塩基性酸素転炉(BOF)を用いるバッチプロセスになりますが、セラミックスの過酷な使用例の一つです。BOFの1回の工程では約1時間かかり、温度は1600〜1700℃に達します。炉の内張りは激しく攪拌されている溶融したスラグや溶鋼にさらされ、くず鉄や1300℃の銑鉄を入れるときに機械的、熱的な衝撃を受けます。BOFでは2種類の耐火物が使用され、一つはタール結合耐火物でピッチで覆ったMgO粒子を熱で圧着した煉瓦で、もう一つはタール含浸耐火物で多孔質のMgO煉瓦に熔融ピッチを真空含浸させたものになります。それらの煉瓦は転炉の中で制御した温度および還元条件で熱処理を行い、ピッチを熱分解して元素状態の炭素にします。炭素は溶融したスラグや鉄による濡れに抵抗して煉瓦中への侵入を防止します。代表的なBOFのセラミック内張りの厚さは入ロで45cm、腐食とエロージョンが最も大きい部分で90cmあります。耐火物の寿命は普通は1000cycle以下で、耐火物の消耗速度は0.08〜0.15cm/cycle程度です。

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