電池のエネルギー密度

エネルギー密度 電気化学
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今回は電池のエネルギー密度について説明します。https://konju-ceramic.com/secondary-battery-electromotive-force/にて説明したとおり電池の起電力は電極の酸化還元電位で決まりますが、実際の放電時には起電力は変化します。そのため、理論エネルギー密度と実際のエネルギー密度には差があることが多く、その差を埋めるために現在の電池開発は行われています。

エネルギー密度

電池から取り出せるエネルギーUは電池から取り出せる電気量Qと電池電圧 V の積となります。$$U=Q×V$$電池の起電力は充電状態や反応に関与する物質の活量の影響を受け、放電中を通して一定にはなりません。また、放電できる電気量も条件によって異なります。実際の電池を一定電流で放電した(定電流放電)場合、大きく分けて二つの放電曲線のパターンが存在します。一つは放電が進むとともに電池の放電電圧が徐々に低下するパターンで、活物質の反応が固溶体を経由する場合に多くなります。もう一つは放電が進んでもほとんど放電電圧が低下しない領域があるパターンで、活物質が放電すると第二の相が現れて二相が共存する場合に多くなります。

終止電圧まで低下するまでに放電できる電気量を電池の容量といいます(電気量は電流の積分値となり、定電流放電の場合には放電時間と放電電流値から計算することができます)。容量は充電終止電圧と放電終止電圧により大きく影響を受けます。当然ながら充電終止電圧を高く、放電終止電圧を低くとれば容量は大きくなりますが、一般的に電池の寿命は短くなります。また、放電終止電圧は電池を使用する機器の要求電圧から決まる場合もあります。

上記の通り電池のエネルギーは電圧×電気量で表されるため、電池電圧×容量がエネルギーとなるとも言いかえることができます。電池電圧が変化する場合は厳密には電流値と電圧を積分しなければなりませんが、簡易的に平均電圧をとって電池電圧とされる場合もあります。また、電池の電圧は放電電流値に依存しますが、これは電池の内部抵抗が電流の増加とともに増加し、電圧に影響を与えるからになります。

電流を流しながら測定した電圧を閉回路電圧、放電のある点ごとに回路を開けて電圧の回復を待って測定した電池の電圧を開回路電圧(open circuit voltage:OCV)といいます。電池のエネルギーの計算には開回路電圧を用いることがほとんどです。放電終止電圧は実際に電池を使用するときに必要となる電圧ですが、これも内部抵抗の影響を受けるため、厳密に電池の容量を求めるためには放電電流値を決めることが必要になります。

https://konju-ceramic.com/secondary-battery-constitution/で述べたように電池には活物質以外にも構成要素が必要ですが、これらは電池の作り方で大きく変化するため容量計算が難しくなります。そこで、正極と負極の活物質だけを取り上げてエネルギー密度を計算し、理論的なエネルギー密度と表現したものがよく使われます。また、理論エネルギー密度は体積当たりにした体積エネルギー密度と重量当たりの重量エネルギー密度があります。いくつかの二次電池のエネルギー密度と実際の二次電池で達成されているエネルギー密度を表に示します。多くの電池で理論エネルギー密度の1/3程度が到達されており、理論値の1/2〜1/3程度が限界であろうと考えられています。しかしながら、近年リチウムイオン電池は製造方法、容器などを工夫することによって理論エネルギー密度の50%を超える電池も市販されるようになっています。

表 二次電池のエネルギー密度

重量エネルギー密度体積エネルギー密度
電池の種類実際値[Wh/kg]理論値[Wh/kg]実際値[Wh/L]理論値[Wh/L]
Pb/PbO230〜4016150〜100720
Cd/NiOOH35〜4520970〜120751
LaNi5H6/NiOOH50〜60275150〜20001134
Li/TiS2100〜130403260〜280649
LiMoS250〜60212120〜140471
LiV2O5100〜120396240〜260783
C6/LiCoO2100〜120360250〜3001357
C6/LiNiO2100〜130444250〜3201533
C6/LiMn2O490〜100403100〜1301371

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