セラミックとファインセラミックス

セラミック
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『セラミック』という言葉は馴染みがあるでしょうか?きっとなんとなくお皿や包丁などをイメージするのではないでしょうか。では、ファインセラミックスはどうでしょうか?聞いたことはあっても具体的に答えるのが難しい方もいると思います。そこで、まずはセラミック、ファインセラミックスの歴史とその代表例から解説していきます。

セラミックとは

歴史上最初のセラミックは何でしょう。旧石器時代、人類が最初に用いた材料は石器でした。狩猟が生業であった旧石器時代に打製石器が生み出され、さらにそれを研磨することで磨製石器が作られます。やがて、農耕が主流になると石皿や器なども登場しますが、その成形性の難しさからは多くは作られませんでした。そこで、容器として人類が開発したのが土器でした。これが人類最初の『セラミック』です。粘土を壺状に成形し、加熱する。石器よりも圧倒的に簡単に保存容器を作ることができ、広まっていきました。しかし、土器には難点があります。そう、吸水性です。粘土から作られているため、どうしても水分に弱く、液体の保存には使うことができませんでした。そこで、陶器が登場します。発祥はB.C.2000年、古代エジプトであると言われていますが、当時の土器に釉薬を塗布し、より高温で焼成することで、表面が緻密な器を作製することができました。釉薬を塗ることで液体の浸透を防ぐことができ、また添加剤を一緒に入れることで彩色も可能になりました。そして、およそ3000年後、磁器が発明されます。陶器の焼結の際に長石や珪石を混入させることで通常よりも焼きしまりの良い、白色で強度の高い磁器を作ることができます。これら土器、陶器、磁器を総称して陶磁器と呼ばれています。みなさんがセラミックと聞いて最初に連想するのはこのような陶磁器ではないでしょうか。陶磁器はその後も人類の中で長い間利用されていきます。しかし、加工性、信頼性など多様な要求が増えていく中で、非鉄金属やプラスチックなど新材料が開発され、材料としての需要が取ってかわられていくことになります。

ファインセラミックスとは

19世紀過ぎになると陶磁器の電気絶縁性、化学的安定性が注目されるようになります。。。が、やはり加工性、信頼性の悪さからその要求に応えることはできませんでした。そこで、人類は陶磁器の材料から製法までもう一度再構築を行います。原材料として人工原料や合成原料、高純度原料を開発し、非常に高精度で制御した製造法にて高性能セラミックを作り出しました。今日我々はそれらを総称して『ファインセラミックス』と呼び、様々な電子材料、構造材料に使用しています。

ファインセラミックスは従来の陶磁器を中心とする伝統的セラミックスに比較して、機能/特性が極めて優れているセラミックスのことをいいます。従来の陶磁器と違い、微細構造が制御されています。粒子径も小さくなり、寸法精度も向上したことから、いくつかの形態に分類することができます。

  1. 焼結体
  2. 単結晶
  3. 薄膜
  4. 多孔体

焼結体

従来の陶磁器のほとんどがこれに分類されますが、ファインセラミックスでは次の点が大きく異なります。

  • 原料が高純度で微粒子
  • 焼結助剤を使用しない、もしくは特性に影響を与えないレベルで少量
  • 緻密化や形状制御のために要求に応じた製法を用いる

製法に関しては非常に多く存在するので後でまた解説しようと思います。

単結晶

単結晶とはどの箇所で見ても結晶軸が同じ方向のものをいいます。単結晶の集合体を多結晶と呼びますが、多結晶焼結体に比べ均質で信頼性が高いことがメリットになっています。一方で、加工しにくい点や極めて脆性であるなどの欠点も持っています。代表的なものとして、単結晶シリコンなどがあり、半導体素子として大量に用いられています。

薄膜

電子機器として最も重要なものは集積回路ですが、その基盤となっているのが薄膜技術です。ファインセラミックスは電磁気機能を多く持っているため集積回路と相性がよく、特に表面の構造が材料特性に起因することも多いため、応用研究が非常に盛んに行われています。

多孔体

多孔体とは名前通り内部に気孔が存在している構造体のことをいいます。多孔体そのものの機能として軽量化、断熱、吸音などがある一方で、気孔径のサイズを精密に制御することで選択的に透過物質を分離することも可能です。未だ開発段階のものも多くありますが、その機能を利用したセラミックフィルターなどが市場に現れています。

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