セラミック材料の弾性

弾性 セラミック
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今回はセラミック材料の弾性について説明します。様々な応力に耐える必要がある構造用材料では、機械的な諸性質が材料の使用限界を決めます。その重要な特性の中の一つに弾性があります。セラミック材料は基本的には脆性破壊を起こす材料ですが、稀に塑性変形をする材料もあります。

弾性とは

材料に荷重が加えられると、原子間距離が僅かに変化し変形 (deformation) が生じます。その力は応力(stress)σで定義され、MPaやN/mm2という単位で表されます。変形はひずみ(strain)で定義され、元の長さに対する変化の割合として%で表されます。

ひずみの量や形は材料の原子間結合強度、応力、温度に依存します。限界応力以下ではひずみは可逆的であり、応力を除くと原子結合が元の状態に戻り、ひずみが消えます。これを弾性変形(elastic deformation)と呼び、応力とひずみとは比例として関係付けられます。引張り応力 (tensile stress) では以下の式が成立し、比例定数Eは弾性率(modulus of elasticity)またはヤング率 (Young’s modulus)と呼ばれます。$$σ=Eε$$

せん断荷重では以下の関係が成り立ちます。τはせん断応力(shear stress)、rはせん断ひずみ、比例定数Gはせん断弾性率(shear modulus)もしくは剛性率(modulus of rigidity)と呼ばれます。$$τ=Gr$$

室温程度の温度で荷重を短時間加えたときには、ほとんどのセラミックスは破壊の起きる応力まで弾性的に振るまいます(図1)。これは脆性破壊(brittle fracture)として知られており、構造用セラミックス材料の設計で考慮しなくてはならない最も重要な特性の一つになります。

ほとんどの金属はある応力までは弾性的に振るまいますが、応力がさらに増加すると延性的に変形してセラミックスのような脆性破壊を起こしません。これを塑性変形(plastic deformation)あるいは塑性ひずみ(plastic strain)と呼び、この変形は可逆的ではありません。アルミニウムなどいくつかの金属は図2に示すように弾性ひずみから塑性ひずみへと滑らかに変化します。低炭素鋼などの金属は塑性ひずみが起こる点で不連続性を示し、その点を降伏点(yield point)と呼びます。

すべてのセラミックスが脆性を示すのではなく、またすべての金属が延性を示すものでもありません。ほとんどのセラミックスは高温では塑性変形します。LiF、NaCl、MgO等は室温でも長期間荷重をかけると塑性変形します。これらは岩塩構造をもち、多くの滑り系における転位の移動によって変形が生じます。

純粋な金属は著しい延性を示すものが多いですが、他の元素を加えると延性が減少し鋳鉄などいくつかの金属は室温で脆性となります。

図1 脆性破壊
弾性
図2 弾性変形と塑性変形

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