伝統的なセラミックスの原料

伝統的セラミックス セラミック
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今回は伝統的セラミックスの原料について説明します。セラミックスの最終的な特性は原料によって大きな影響を受けるため、原料粉末の純度、粒径分布、結晶構造、反応性などを十分理解する必要があります。

伝統的セラミックスの原料

現在多くのセラミックメーカで製造されているセラミックはいわゆるファインセラミックスですが、天然原料からつくられるセラミックスも古い歴史を持っています。古代より人々は、粘土に水を加え自由な形状に成形し、成形体を天日で乾燥、炎を用いて硬化させ、天然の陶磁器を作製していました。 そもそもセラミックスという言葉はギリシャ語のkeramos に由来し、『焼き物』を意味しています。

このように古代より使われている原料の多くは現代でも多く用いられており、伝統的セラミックス(traditional ceramics)の多くを占めています。表1に伝統的セラミックスの用途を示します。

表1 伝統的セラミックスの種類と用途

種類用途
ホワイトウェア皿、配管、ほうろう、タイル
ヘビークレーウェア排水管、煉瓦、陶磁器
耐火物煉瓦、セメント、るつぼ、鋳型
建築材料煉瓦、ブロック、コンクリート、タイル、ガラス、石膏
研磨剤砥石、サンドペーパー

次に、天然に産出される鉱物の用途を説明します。

粘土鉱物

粘土鉱物は層構造を持つ珪酸アルミニウムの水和物です。粘土鉱物にはカオリナイト (kaolinite) Al2Si2O5(OH)4, ハロイサイト(halloysite) Al2Si2O5(OH)4・2H2O, パイロフィライト(pyrophyllite) Al2(Si2O5)2(OH)2, モンモリロナイト (montmorillonite) Al1.67(Na, Mg)0.33(Si2O5)2(OH), などの種類があります。これらの粘土鉱物は火成岩が地下水や温泉、炭酸ガスや硫化水素、無機酸や有機酸などと反応してできたものです。花崗岩などの岩石中に含まれる長石(feldspar) KAlSi3O8が湖底に堆積して化学変化することにより、粘土の大きな堆積床が形成されます。

粘土鉱物は伝統的セラミックスの製造においても重要な原料になっています。粘土に水を加えることにより可塑性が生じて成形作業が可能となります。陶器、食器、煉瓦、タイル、土管などの製造では粘土の性質はとても重要です。

シリカ

シリカ(silica) SiO2はガラス、釉薬、ほうろう、耐火物、研摩材、磁器などの主要な構成成分であり、水晶、珪石、砂岩、海砂などの形状で産出されます。シリカには多くの多形が存在しますが、主な形態は石英(quartz)、トリジマイト(tridymite)、及びクリストバライト (cristbalite)になります。

長石

長石は陶磁器、ほうろう、ガラスなどに使用されており、材料の融解温度を低下させる融剤 (flux)として作用します。長石は KAlSi3O8, NaAlSi3O8, CaAl2Si2O8を端成分とする三成分系固溶体です。霞石閃長岩 (nepheline syenite) Na2Al2Si2O8も同様の目的に用いられます。

伝統的セラミックスに使われる他の天然鉱物には滑石(talc) Mg3(Si2O5)2(OH)2, 石綿(asbestos) Mg3Si2O5(OH)4, 珪灰石(wollastonite) CaSiO3, 珪線石(sillimanite) Al2SiO5などがあります。

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