有機材料の分子構造〜その2〜

重縮合 セラミック
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今回も引き続きセラミックス材料ではないですが有機材料の分子構造について説明します。

重縮合は皆さん誰もが知っているペットボトルの材料、ポリエチレンテレフタラートを作り出す工業的に重要な合成方法です。その他重縮合高分子はその強度面から使い勝手の良いものが多く、日常的にも工業的にもよく使用されています。

重縮合

重縮合(condensation polymerization)では2種類の有機化合物が反応して新しい分子をつくり、同時に副生成物を放出します。$$nC+mD→(熱,圧力等)→(−E−)_n+nF$$

重縮合では二重結合が1個以上切断されて直鎖状もしくは網目状の高分子が生成します。副生成物は水であることが多いのですが、アルコールや酸などの簡単な分子の場合もあります。

ポリエチレンテレフタラート(PET)はテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールから重縮合によってつくられる直鎖状分子です。この重縮合反応ではテレフタル酸ジメチルのC-O結合とエチレングリコールのC-OH結合が切断されてメチルアルコールを副成しますが、C=Cの二重結合は切断されません(図1)。

フェノールとホルムアルデヒドは重縮合して網目構造を形成します。この反応ではホルムアルデヒドのC=O結合が切断して2個のフェノール分子の間を架橋します。その際にホルムアルデヒドのOとフェノールのHとが反応してH2Oを副成します。この反応はフェノールのC-H結合の数個所で起こり、その結果網目構造を生じます。フェノール – ホルムアルデヒド系の高分子はベークライトなどの商品名でよく知られています。

他の重縮合高合分子としてはナイロン(ヘキサメチレンジアミン – アジピン酸)やメラミン(メラミン – ホルムアデヒド)などがあります。ほとんどの重縮合高分子は熱硬化性樹脂で、網目構造の場合には材料が比較的硬く高温でも塑性が増加しません。熱硬化性樹脂は熱可塑性樹脂と比べて強度が大きく耐熱性を持ちますが、一般的には高価になっています。

                    図1 ポリエチレンテレフタラートの重縮合

高分子の結晶化

高分子を配列させることで、ある程度結晶性にすることが可能です。このことによって材料の性質を変化させることができます。たとえば直鎖状の高分子がランダムに並んでいるときにはファンデルワールス力は限られた原子の間でしか作用しませんが、分子の配向性が増加するとファンデルワールス結合に適した位置を占める原子が増加し、強度が大きくなりクリープ速度が減少します。

高分子の分子形状によっては結晶化の程度が影響を受けて材料の性質が変化します。結晶化はそれぞれの構造単位が全く同じ配列をしているときに最も容易に起こります。

架橋と枝分かれ

直鎖状の高分子では架橋や枝分かれによって性質に大きな変化を生じます。不飽和炭素原子間の架橋によって隣り合う分子が結び付けられる例としては、天然ゴムの硫黄による加硫がよく知られています。この反応では加える硫黄の量で架橋の程度を制御することができ、得られる材料の硬度と強度は架橋が増加するほど大きくなります。

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