電池の容器とセパレータ

セパレータと容器 電気化学
Sponsored Links

今回は電池の容器とセパレータについて説明します。セパレータは活物質同士の反応を防ぐ重要な隔壁で、電解質のイオン導電性の保持と強度が要求されます。容器は強度や雰囲気密閉性が要求され、高い封口技術が必要とされます。

セパレータ

正極と負極が直接接触することを防ぐセパレータは、固体電解質やポリマー電解質を用いる場合を除いて電解液を用いるほとんどの電池に必要になります。

セパレータの機能は単純ですが、電池にとってはなくてはならない存在です。セパレータがないと、活物質同士が直接反応し大きな発熱とともに安全上の問題を引き起こします。また、それほど激しい反応が起こらなくても、活物質が消費される自己放電(self discharge)が進行し、電池の機能が失われてしまいます。

セパレータは両極の接触を妨げますが、一方で電解質のイオン導電性は保持しなければなりません。通常、電解液を用いる電池では多孔性材料をセパレータに用い、空隙に電解液を保持させることでイオン導電性を確保します。できるだけ薄肉で、電解液に濡れやすく、空隙率が高い方がイオン導電性には有利になりますが、隔壁としての強度が弱くなってしまうため、その両方の要求に応える必要があります。

電解液を保持して両極間のイオン導電を担うセパレータは、その厚さが均一でなければなりません。例えば、厚さに10%薄い部分が存在するとその部分のイオン導電性は10%高くなり、充放電の際に電流集中を引き起こします。すると、そこに接する部位の活物質が優先的に反応し、充電状態(SOC)に大きな面方向の分布を生じさせます。このような分布は電池の劣化を著しく早め、安全性、信頼性の低下を招くことにもなります。

リチウムイオン電池ではセパレータとして厚さ15〜30μm のポリオレフィンの多孔性薄膜が用いられます。その孔径はサブミクロンオーダーであり空隙率も50%以上ありますが、このセパレータは電池内で異常反応が起こり温度が上がると、半融して孔が閉塞します。この機能により異常時に電極間のイオン移動が遮断されるため、それ以上の電池反応は進行できなくなり、異常な反応の進行を停止させることができます。このように、安全性の面でも重要な役割を果たしているセパレータもリチウム電池には使用されています。

セパレータは、活物質に直接接触しているため酸化や還元に対しても安定でなければなりません。有機物のほとんどは酸化に対してあまり安定でなく、また還元に対する安定性も限られています。セパレータの材料選定は非常に難しく、重要な役割を持っています。

容器

電池を入れる容器にはプラスチック材料を用いることもできますが、エネルギーの缶詰である電池の容器には強度が要求される場合が多く、金属容器が用いられることの方が多くあります。また、プラスチック材料はガス透過性があるため、電池内部が高圧であったり空気や水分を徹底的に遮断する必要がある場合などは金属材料が用いられます。近年、アルミ箔をプラスチックフィルムで挟んだラミネートフィルムがリチウムイオン電池の容器に使用されていますが、これは金属のガス遮断性とプラスチックの柔軟性の両方を活かした工夫になります。

これらの容器は電池組立の最終段階で封口されますが、使用される材料電池の特性により封口の方法もいくつかあります。ゴム質のガスケットや樹脂を用いてクリンプ止めする電池が多くありますが、これでは密封性が不十分な場合も存在します。そのため、密封性を保証するために炭酸ガスレーザーを用いたレーザー溶接も採用されています。

ラミネートフィルムを用いるリチウムイオン電池では、金属とプラスチックが接する電力端子の部分の封口が難しい技術となっています。リチウムイオン電池では内部に水分の進入があると寿命を著しく低下させ、またニッケル水素蓄電池では水素の放散が寿命低下を招きます。このように、容器と封口技術は電池の保存寿命に大きな影響を与えます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました