二次電池の概要

二次電池 電気化学
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鉛蓄電池、リチウムイオン電池、ニカド電池など充電できる電池のことを一般に二次電池といいます。近年、これら二次電池は小型電子機器などに多く使われ、私たちの生活の中では欠かせないものになっています。今回はその二次電池に関して、概要を説明していきます。

二次電池とは

電池とは化学物質の持っているエネルギーを電気エネルギーの形で取り出す装置になります。火力発電所のような電気を産み出す発電システムは熱エネルギー、もしくはポテンシャルエネルギーを機械エネルギーに換え、発電機を回すことで電力を得ています。一方で、電池には可動部分がなく化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換しています。

電力を得る電池の中では、化学反応の一種である電気化学反応が進行します。通常は電池という容器の中に電気を産み出す材料(起電物質、あるいは電池の活物質と言われます)を持っており、それが反応してしまえば電気を取り出せなくなります。このように、使い切ったら電気を取り出せなくなるタイプの電池を一次電池といいます。これに比べ、使い切った電池の中にある反応生成物を逆反応させ元に戻し、活物質を再生して何度も使うことができるものが二次電池になります。逆反応を進行させるためには光化学反応や熱反応などを利用することもありますが、通常は電池の中に電気エネルギーを投入し、電気分解によって起電反応を逆向きに進行させます。このように、二次電池とは電気エネルギーを化学エネルギーに変換し、電気の貯蔵を行うデバイスになっています。

電池は通常起電物質を電池内に持っていますが、外部から起電物質を導入することで電気を得るものもあります。その代表例として最も有名なものが燃料電池です。燃料電池は、電池系の中に燃料と空気を導入し電池反応を起こすことで電気を得ています。一方で、起電物質をリザーバーから電極系の中に導入して発電するレドックスフロー電池や亜鉛-臭素電池などは燃料電池に似ていますが、二次電池に分類されます。

二次電池の発展

https://konju-ceramic.com/electrochemistry-history/でも説明しましたが、電池は 1799年にVoltaによって発明されました。そして、電池を直列に連結したVoltaの電堆が発表されると、すぐにその電池を使った電気分解も行われました(1800年)。電気分解は様々な原子を発見する非常に重要な手法となっていきましたが、その後も電池は19世紀中頃にSiemens によりダイナモ発電機が発明されるまで、唯一の電源として科学界で大活躍をしていました。さらに、ダイナモ発電機が発明された後も安定な直流電源としてしばらくは化学実験にはなくてはならないものであり、1900年代中頃のウランの核分裂の実験にも大量の鉛蓄電池が使用されていたほどでした。

こうして科学にとって重要な産物であった電池でしたが、ガソリンエンジンなどの発明により用途は次第に縮小していき、1900年代後半には、懐中電灯や玩具など用途が限られたものとなっていきました。しかしながら近年また、電池は社会にとって非常に重要度の高いものとして地位を確立しています。それに貢献したのが二次電池です。1900年代終盤から二次電池の用途が急激に増加し、高性能二次電池の開発に対する要求が非常に強くなりました。

電子機器の大きな発展、特に持ち運びのできる小型電子機器の急速な発達と拡大が、二次電池の大きな需要となりました。さらに、最近では環境負荷増大への対処としてエネルギー有効利用を目指した電気自動車の電源や、電力負荷平準化のための電力貯蔵のための大型高性能二次電池などが大きな要求となっています。

これら環境問題は社会的な要請です。そのためこれに応えるために、アメリカ、ヨーロッパ、日本などでは高性能二次電池の研究開発に向けて国家レベルで大きなプロジェクトが組まれ、各国の産業界でもその開発・研究が熱心に取り組まれています。その中でも、日本の電池産業はこれまで絶えず世界をリードしてきました。ニッケルカドミウム電池の高性能化、乾電池やアルカリ乾電池の非水銀化、鉛蓄電池の高性能化など、日本企業の大きな功績になります。また、近年脚光を浴びているニッケル水素蓄電池、リチウムイオン電池などハイテクな二次電池も実用化され、その開発でも日本の企業は世界を牽引しています。

最近のハイテク二次電池の研究開発の経過を見ると、従来の電池の研究開発とは異なっている点がいくつかあります。一つは、これら電池の開発のための技術開発の中で材料開発の占める比重が極めて大きくなっていることです。中でも、活物質、電解質をはじめとする電池材料の開発は電池全体の性能に決定的な影響を与えます。ハイテク電池の材料は従来の電池に比べて多様性に富み、新規物質の開発の可能性も高くなります。新材料の開発はこれら電池の性能に飛躍的な進歩をもたらす期待を込められています。また、リチウムイオン電池に見られるような、薄膜塗布や密封などの新しい技術の導入が極めて重要となっている点も、従来と大きく異なっています。多種多様な設計が要求される中で、製法としても新たな進化が求められています。

また、二次電池の開発では『安全性』、『信頼性』も非常に大切です。電池はこれまで安全性に十分配慮されて開発がなされてきた「エネルギーの缶詰」といわれています。電池では、高性能化・大型化は大きなエネルギーをその中に保持していることを意味するため、安全に対しての配慮は非常に重要視されます。

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